DIYはもう卒業!左官屋さんから学ぶ、漆喰の仕上げ方

実例の紹介

シリーズ「本物を知る」。第一回目は、原田左官工業所さんにお伺いして、本物の左官技術を学びます。
現在、DIYブームで漆喰が流行していますね。でもやはり職人さんが塗るのと、一般の方が塗るのでは違いがあります。その違いが何なのか、迫っていきます。

1:シリーズ:本物を知る

始まりました。「シリーズ:本物を知る」
このシリーズは、店舗や住宅のデザイン・施工に加え、舞台美術の仕事としている「スタジオすむとこ」が技術力やデザイン性の高い「本物」を世に伝えていくことを目的とした特集です。

原田左官工業所

今回の特集は左官一筋70年、メディアでも活躍されている、原田左官工業所さん。
女性の左官職人さんが活躍されている点や、「モデリング」という独自の教育システムを採用されていることでも有名です。

職人に学ぶ、漆喰の塗り方

昨今、DIYブームで漆喰が流行っていますね。左官は楽しいし、自分でやったら愛着も増します。
でも、やはりプロが施工したものと、一般の方の施工したものでは、一目瞭然。
一体何が違うのか。今回は、創業から70年左官一筋でやられている、原田左官工業所さんにお伺いして、きちんとしたプロの左官について学んでいきます。

一口メモ:漆喰って誰でも塗れるものなの?
漆喰を始めとした左官材は、近年のDIYブームに後押しもあり、
ホームセンターで練った状態のものが売られているので、
初心者でもとっつきやすい材料となっています。

2:プロとDIYの違いとは?

1.成分が違う

プロの材料

伝統的な漆喰の成分は、石灰+すさ+海藻のりです。
これを予め、適量に配合した粉を、水と一緒に練ります。
現地でその時の温度や湿度、塗る場所によって、硬さを変えて、寝る必要があるのです。

DIYの材料

初心者だと練るのが大変なので、練った状態で販売されています。
ここに、誰でも塗りやすいように「人工のり」が加えられ、また、硬化が遅くなるような材料が加えられている場合もあります。

2.下準備が違う

プロの下準備

実は、漆喰を塗るためには、漆喰を塗るまでの下準備があります。
まず、壁は壁紙仕上げの際より、左官仕上げの際の方が強固にする必要があります。
また、合計で最低4回の塗りが必要になります。
●パテ(1回)+下塗り(1回)+仕上げ(1回)

DIYの下準備

材料によって、またどこまで精度を求めるかによってですが、制度を求めないのであれば、1〜2度塗りである程度綺麗に仕上がるような材料も市販されています。
そういったものを、ホームセンターの方や設計士さんなど、詳しい方にご相談されるのが良いでしょう。

3.仕上げの精度が違う

プロの下準備

コテの扱いが巧みなため、早く美しく仕上げることができます。
また、マスキングや養生(塗りたくない場所に、左官材がつかないようにする下準備のこと)の精度が高く、最低限さえしておけば他の場所を汚しません。

DIYの下準備

コテの扱いに慣れていない場合が多いため、全てに養生をしておいた方がいいでしょう。
(余計な場所に左官材を付けてしまうと全てが台無しになってしまいますからね。)
もし、トライされる場合、手間を惜しまず、時間をかける覚悟が必要です。

3:漆喰の塗り方5パターン

日本の白い塗り壁といえば「漆喰」。
伝統的な工法で作られた石灰を左官の技で真っ平らに仕上げる左官の基本であり、且つ技術のいる仕上げです。
実は漆喰、色んな塗り方があります。
一般的に、パターンは5パターン。
フラットと言われる真っ平らな塗り方の他に、下記のような模様付けが可能です。

最近は、少し鏝跡をつけてワザと手仕事の風合いを残すことが多くなっています。
鏝模様をつけるのは少しうるさいと感じる場合は、白い砂を入れてフラットの仕上げてもきれいです。

4:塗り方の手順

1.施工サンプルを作成

サンプルを作成します。
原田左官工業所さんの場合、30cmが標準で大きくても60cmぐらいの大きさだと言います。この大きさだとイメージは沸きますが完全ではありません。
実際に施工する壁でパターンを作ることもあります。
すると、イメージがわきやすいため、「こうじゃなかったのに・・・」というトラブルが一気に少なくなります。

2.下地を作成

今の住宅の壁紙の下は、石膏ボードでできています。
DIYだと、壁紙(クロス)の上に、直接漆喰を塗るケースもありますが、本当は、壁紙と漆喰では壁の作り方がそもそも違います。
漆喰は(左官材全般に言えることですが)壁が動くとすぐにひびが入ってしまうので、石膏ボードの間隔(石膏ボードを留める下地の間隔も狭くする)必要があります。

3.養生・マスキングをする

左官は養生が非常に大切です。

養生が適当だと、どんなに綺麗に塗っても、左官材(この場合は漆喰)が、着いてしまい、綺麗に仕上がりません。
頑張って塗っても養生を剥がした時にがっかりした仕上がりになります。

4.ジョイント・パテ処理

ジョイントにファイバーテープを貼り、パテで下地処理を進めます。

また、石膏ボードを打った1つ1つのビス(釘)も、綺麗にパテで平らにしていきます。

5.コーナー処理

コーナーには補強用のコーナー材(プラスチック製)を入れます。


漆喰は硬化すれば固くはなりますが、やはり角をぶつけてしまうと欠けることがあります。

そのため、原田左官工業所さんでは出隅(でずみ)にはこのように補強のコーナー材を入れています。

6.下塗り

ここで、やっと下塗りの開始です。
1〜2mmの厚みで、1度塗りをし、不陸を無くします。

7.上塗り

コテで、上塗りをしていきます。
塗り終わったら硬化する前にマスキングを外します。

まだ塗りたては乾きムラが出ますが、乾燥すると色が整います。

一口メモ:施工管理江口さんに聞く「『素晴らしい仕上がり』とは何か?」
私のような施工側の人間、そして職人が「素晴らしい!最高だ!!」と
思っても、残念ながらお施主様が「違う」と言えばお金をいただける壁では
ありません。今までは「これがいいんだ!」で通りましたが今は違います。
違うと言われたら塗り直しますが、お客様にとっても私たちにとっても
負担が大きいです。(心理的に、そして予算的にも・苦笑)
そこで弊社で非常に大切にしているのは施主様や設計担当者様の施工立ち合いです。

5:まとめ

今回、プロの左官技術を特別に工程を公開してきました。
原田左官工業所さんでも一人前になるのに10年かかると仰っています。

一口メモ:一人前になるのに10年かかる!左官の世界
1人前になるのに、週6日10年修行を積むんですから、本当にすごいですね。

ご自身でトライされる場合でも、少しでも綺麗に仕上げたいですよね。
初めての場合、時間をかけて丁寧に作っていくことで、納得いく形で仕上げることができます。もし不安であれば、DIYサポートなど、職人さんに入ってもらうサービスを利用しながら、これからずっと使える技術を身につけるのもいいかもしれません。

写真提供:原田左官工業所
文:スタジオすむとこ

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