味から内装を作る・・・?スープカレー屋さんができるまで(1) コンセプトができるまで

Macintosh HD:Users:hitomi:Desktop:IMG_0594.JPG
実例の紹介

今回取材したのは、オープンして間も無く1年が経つというスープカレー屋さん。何とここ、「味」を内装にそっくり移し込んだ店舗なんです。「味」がどんな風に空間に反映されていったのか。その過程を全4回に分けて振り返ります。第一回は、「コンセプトができるまで」。要件がほとんどない中でのコンセプトリノベーションの過程を詳しく解説します。

1:はじまり・相談を受ける

「もう何をどうしたらいいかわ分からなくて・・・」
「とりあえず、食べてみてくれませんか?」

家や店舗をリノベーションする際、何をしたいかが明確に決まっていれば、話は簡単です。やりたいことを実現してくれるリノベーション会社を見つけて、依頼するだけ。

でも、みんながみんな、そうイメージを持っている訳ではありません。
ときには、今回のように「いいお店が作りたい」けれど、どうしたらいいか分からないこともあります。

今回は、「味」を手掛かりに、内装全てを作り込んだ事例を取り上げます。

・取材協力:スープカレーとプリンのお店 パッション
・施工方法:コンセプトリノベーション(スタジオすむとこ)

2:ヒアリング・コンセプト作りの材料集め

手掛かり1:メニュー(試食)

まずは、今回の内装の中核となる、スープカレーを試食。他に確定していることがほとんどない中で、唯一確定している「味」は重要な手がかり。味の感想や思いついたことを、メモしながら、実食していきます。

また、同時に、雑談をの中で、下記をヒアリングしていきます。

手掛かり2:バックボーン

「何でお店を始めようと思ったんですか?」

—もともと、学生時代のアルバイトで洋食屋の調理をしていました。

  ずっと自分のお店を持ちたいと思っていたのですが、一度はきちんと就職をして社会人経験を積み、自分のお店をオープンするのはその後でもいいかな、と思っていました。

「オープンに至るきっかけは?」

—就職後は、仕事の区切りなどもあり、なかなか踏み出せませんでした。

  でも、30歳を超えた頃に、「自分のお店を持ちたい」という思いを改めて意識し、今(31歳・ヒアリング時点)に至りました。

手掛かり3:どんなお店にしたいか

「どうしてここを店舗に選んだんですか?」

—馴染みのある会社員時代から、馴染みのある場所だったので。その中で、1店舗目であるということや、予算の兼ね合いで、10坪程度の広さの物件を探していました。

  10坪ほどだと、ほとんどが長方形のような形になってしまうのですが、ここが一番正方形に近かったので、ここにしました。

「どうして長方形より正方形が良いのですか?」

—正方形の方が、長方形より、全体に目が届きやすいからです。

  お客様との会話を大切にするお店にしたいので、「正方形」にこだわりました。

「こんなお店にしていきたい、などありますか?」

—ペットも入れて、近所の人がお子さん連れでも楽しめる、そんなお店にしたいです。

他にも、ヒアリングした内容を大まかにご紹介します。

その他の手掛かり(ヒアリング内容)

好きな画像集め

普段、そのお客様の好きな雰囲気を把握する際、好きな雰囲気の写真を多くご提示頂くのですが、今回は、「本当にイメージがないんです」ということで、写真のイメージはなしで、本当に全てお任せでした。

導線のイメージ

キッチンと客席の導線を近くし、導線も増やしたい、ということでした。導線やキッチン周りは、普段オーナーさんがお仕事される上で大切なポイントです。

ご予算

今回のご予算は400万円。どのご依頼でも、ご予算の厳守は必須です。ご予算の中で何を行なって、何を行わないか、お客様と洗い出していきます。

譲れる場所・譲れない場所

ご予算と、やりたいことをまとめた上で、できること・できないこと、安い材料で施工する場所・予算をかけてでもきちんと施工する場所、を決める際の手掛かりにします。

収納量

収納量はどこでも設計の上で非常に重要です。収納スペースが少ないと、折角素敵に仕上げたスペースが台無しに。収納スペースが多すぎると、空間が勿体無いことになってしまいます。ランチでは何をどのくらい出すか、ディナーでは何をどのくらい出すか、将来はどういったメニューにしていくか、など、洗い出していくと同時に決定していきます。

3:イメージ作り・コンセプト設計とご提案

今回、ヒアリング内容をもとに、設定したコンセプトワードは、3つ。

1.落ち着いたエスニック

試食した際、スパイシーさと共に、もう少し日本的な「だし」の旨味を感じました。この味をそのまま表現しようと思い、エスニックな空間であると共に、日本人が落ち着くような空間コンセプトを1つ設定しました。

2.温かみのある空間

オーナーさんの個性である「温かみ」をそのまま空間に。子供やペット、女性、リタイアされた方など、近隣の誰もがのんびり・ついつい長居してしまうような空間を目指すこととしました。

3.手作り感

1つ1つ心を込めたスープカレーと、真心の入った接客、これを内装にも反映する為、大量生産されている製品はほとんど使わず、1点ものや使い込まれたもの、自然のものを使用して、手作り感のある設計を行なっていきます。

上記3点をもとに、様々な素材を合わせて雰囲気を作り込んでいきます。

その様子は、次回「(2)コンセプトを空間に落とし込む」で公開しますので、お楽しみに。

4:まとめ:コンセプトリノベーションとは?

コンセプトリノベーションとは、「こんな雰囲気にしたいけど、どうしたらいいか分からない」を、形にするリノベーションです。ある程度パターンが決まってしまっている、これまでの建築やリフォームと違い、お客様のキャラクターや目指す雰囲気など、詳細なヒアリングを元に、コンセプト設計を行って、最終的に「うまいこと」仕上げてくれます。

今回のように、手掛かりが「味」しかなかったとしても、きっちりと仕上げてくれます。

「コンセプトリノベーション」の特徴

1.詳細なヒアリング

コンセプトリノベーションの鍵は詳細なヒアリングです。

お客様がどんな個性の持ち主で、どんな生活やお店を目指しているのか、導線やご予算だけでなく、詳細なヒアリングが鍵になります。

2.コンセプト設計

ヒアリングした内容をもとに、コンセプトをご提案します。

3.「うまいこと」仕上げる

一点物を使うことで素敵な空間に仕上がったり、アウトレットの物を使用することで、安く仕上がったりします。事前に実績等を見て、信頼できる(趣味の合う)デザイナーに、ある程度信頼してお任せすることで初めて成り立ちます。

「コンセプトリノベーション」を依頼する際の注意点

「手掛かりをどう空間に落とし込むか」は、依頼するリフォーム会社や担当者の技量に大きく左右されます。依頼の際は、ヒアリングの時の担当者との会話や、過去の施工事例をよく確認し、信頼できる業者を選定しましょう。

次の記事を読む:コンセプトを空間に落とし込む

写真提供:©︎2017 studio.sumutoco

ピックアップ記事

関連記事一覧